#46/ こどもが「赦す」ことが出来たことに感動した話
本コンテンツは、「Nodebaseのコンテンツになりそうな雑談」というテーマでNodebaseチームで雑談をした回の文字起こしです。雑談なので、細かい内容の検証等はしていません。内容に間違いがある可能性はありますので、その辺りご容赦ください。
今回は、クリスマスにちなんで、子どもが「赦す」ことが出来たこと、それって相当な心の成長が必要だよねということを話している回です。
カンタ : 今日は「赦す」について話したいんだけど
バルカナ : ほう。許可の「許す」じゃなくて恩赦とかの「赦す」の方ですか?
カンタ : そうそう。罪を赦すの方。
サキ : ほう。
カンタ : この間、5歳の次男が「赦す」瞬間に立ち会って、赦すってめっちゃ大事な成長なんだなーって思ったんだよね
サキ : どういうことですか??
カンタ : いままでもこども同士で喧嘩したりしたら「ごめんね」「いいよ」みたいな感じで形式的に謝罪を挟んで手打ちにするみたいなことはあったんだけど
バルカナ : はい
カンタ :赦すってさ、例えば自分が大切にしてるものが壊されて本当に悲しいみたいな状況で、それでも相手をこれ以上この件で責めたりしませんよって決断とその表明だよね
サキ : なるほど
カンタ : それは形式的な「ごめんね」「いいよ」とは質的に違う成長だなと思って
サキ : ほう
カンタ : こどもの成長を「概念の獲得」って見方をしてるんだけど
バルカナ : またよく分からないことを言い始めた
カンタ : まずさ、産まれてすぐは不快を感じたら泣く、泣くと不快が解消される、みたいな経験を通して、自分のアクションに対して世界からリアクションがあるということを学ぶわけだよね
サキ : なるほど、そういう言い方も出来そうですね
カンタ : その内に、自分の泣き方とかのアクションを変えると、世界からのリアクションが変わる事に気がつく。例えば、泣き方でお腹空いてるかオムツ替えて欲しいかが識別出来るようになるみたいな話。
バルカナ : 言い方はあれですけど、はい。
カンタ : 音の並びが何かの意味と紐づいてるなとかも学んでいって真似していくことで、喋るようになってくるみたいなのも
バルカナ : はい
カンタ : 特定の音の並びに意味があるみたいな概念を獲得していくという風に捉えていて
バルカナ : なるほど
カンタ : で、発達の初期段階は、基本的に自分についてと、自分のアクションに対する世界からのリアクションという観点での発見が主だという見方が出来そうだなと思っていて
サキ : はい
カンタ : その中でも重要なのが「社会」の発見であり、そのためのステップとして「他者」を発見するというのがすごく重要なんだろうと思うんだよね
バルカナ : どういうことです?
カンタ : 「サリー・アン課題」って知ってる?
サキ : 聞いたことないです
カンタ : 「心の理論」って話をするときに出てくる心理学で有名な実験なんだけど
バルカナ : へー
カンタ : サリーとアンがカゴを持っています
サキ : はい
カンタ : サリーは自分のカゴにおもちゃを入れて、その場を立ち去りました
バルカナ : ほい
カンタ : アンがサリーのカゴに入ったおもちゃを自分のカゴに移しました
サキ : はい
カンタ : そこにサリーがおもちゃを取りに戻ってきました。さて、サリーはどちらのカゴをまず探すでしょう?
バルカナ : 普通に考えると、サリーのカゴですよね
カンタ : なんで?いまおもちゃはアンのカゴにあるよね?
バルカナ : いやだって、サリーは、アンがおもちゃを自分のカゴに移したことを知らないんですよね
カンタ : そうだよね。でもこれ、定型発達の子で4~5歳くらいまでは「アンのカゴを探す」って答えることが結構あるんだって
サキ : へー!おもしろい
カンタ : 「サリーのカゴを探す」ということが分かるためには、サリーにはサリーの認識があるということを理解する必要があるよね
サキ : あー、んー?
カンタ : 「サリーは、アンがおもちゃを移動した所を見ていないから、アンのカゴにあることを知らない」っていうサリーの視点で考えるってことが必要だよね
サキ : そうですね
カンタ : つまり、サリーにはサリーの心があり、それは自分と似てるけど全く別のものであるって理解が必要になるんだよね
バルカナ : あー、言われてみるとたしかにそうですね
カンタ : 他者というのは「自分と似てるけど自分と違う主体」という風に捉えることが出来て
サキ : ほう
カンタ : 世界にはそのような他者が存在するということ、そしてその他者と共生しないといけないというのが結局「社会」という概念の獲得ということだと思うんだよね
バルカナ : ここまでは言ってることはわかったと思います。
カンタ : でさ、赦すの話に戻るんだけど
バルカナ : お。戻ってきた。
カンタ : 赦すが起きるまでの過程を細分化して見てみると、まずは被害があるわけだよね
サキ : おもちゃが壊されたとかってことですよね
カンタ : そう。でさ、そこに悲しいとか怒りみたいな感情が起きるよね
バルカナ : はい
カンタ : それで泣いたり怒ったりする
サキ : はい
カンタ : しばらくすると落ち着いてくるんだけど、それで別に壊れたおもちゃが直ったりするわけではないよね
バルカナ : そうですね
カンタ : そこにさ、壊した子がすごくしょんぼりした顔しながら「ごめんね」って言ってきたとき
サキ : はい、想像出来ますね
カンタ : その時に、相手が申し訳なく思ってることとか、どうにも出来なくてごめんとしか言えないこととか、それで落ち込んでることとか、そういう相手の感じている心に対する理解みたいなものと
サキ : はい
カンタ : 目の前の壊れたおもちゃは直らないという悲しみを天秤にかけて、それでもこの件にはここで区切りをつけて、相手との関係を修復しようってなって初めて「赦す」という行為につながるわけだよね
サキ : あー、そう考えると感動的な瞬間に思えてきました
カンタ : だよね。これって、「他者」という概念、その他者との共生をするための「社会」という概念を獲得して、その中で自分がそこと折り合いをつけるために譲歩するという心の成長というのがあって初めて起きることだと思って、すごく感動したという話。
サキ : そう言われてみると、自分の子が初めて「赦す」瞬間を見逃してる気がしてきて残念に思えてきました。
バルカナ : うちは年齢的にまだなのでちょっと楽しみですね
カンタ : 概念の獲得って観点で子ども観察してると、人間ってこうやって人間になるんだ!って発見がいっぱいあって面白いんだよね
バルカナ : サイコパスみが・・・
サキ : 笑
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